新品チェーン交換後に歯飛びが起こる原因と対策をまとめた記事
- 予防整備でチェーン交換
- 新品チェーンで歯飛びが起こる
- 【歯飛び対策1】スプロケットを交換
- 【歯飛び対策2】チェーンリングを交換
- 【確認】歯飛びするチェーンリング摩耗状態
- 【確認】ノートラブルだった過去のチェーンリング(14,000km&28,000km)
- 【構造】アウターチェーンリングのチェーン保持機構
- 【構造】新品チェーンと伸びたチェーンのピッチの差
- 【構造】チェーンリングからチェーンへ力のかかり方
- 【比較】摩耗したチェーンリングの程度
- 【摩耗の要因1】たすき掛けの影響
- 【摩耗の要因2】GRXのギア比とダブルレバーの操作
- 【摩耗の要因3】小さいチェーンリングと大きいスプロケットの組み合わせによる影響
- 新品チェーン×摩耗チェーンリングの組み合わせで歯飛びが起きるのはなぜ?
- 対策とまとめ
予防整備でチェーン交換
2026年8月、東洋フレームアドベンチャーロードのチェーン交換をした。
チェーンの走行距離は7900km。交換前は特に異常はなく、まだ使い続けられそうな感触だったものの、明らかに変速がもたつくし、リンクのガタが通常よりも大きくなっていた。
そこで大きなトラブルが起こる前の予防整備で、チェーン交換をすることにした。

今回はCN-HG601へ交換。
新品チェーンで歯飛びが起こる
駆動系パーツ交換後にトラブルが起きるというのは時々耳にするけれど、今回はチェーン交換後に【特定の状況で歯飛びが起きる】という症状が発生するようになってしまった。
【歯飛びが起こる主な場面】
ゼロスタートで重めのギアを立ち漕ぎで踏む
低速で急坂を立ち漕ぎで踏む
つまりチェーンに強いテンションがかかる状態で重いギアを踏むと、激しい金属音とともに前後ギアからチェーンが外れてしまう。フロントアウターでのみ、リアはトップ寄りのギアで起こりやすい。
なお、東洋フレームの変速機はWレバーを装備しており、急な状況変化に合わせて変速を合わせることが難しいこともあり、上記のようなシーンが多くなる。

偽物チェーンを掴んでしまったかと疑ったが、交換したばかりのチェーンをすぐに替えるのも忍びないので、まずは他の部分を疑うことにした。
【歯飛び対策1】スプロケットを交換
まずはスプロケットを新品へ交換してみた。
現構成に不満があるわけではないので、前と同じくCS-HG800 11S(11-34T)を選択。

交換後、しばらく走ってみると同じように症状が続く。原因はスプロケットでは無かったようだ。
【歯飛び対策2】チェーンリングを交換
次にチェーンリングを疑い、こちらも全く同じものを新品に交換した。
アウター&インナーを48/30T、FC-RX600(2×11S 46-30T)の純正リペアパーツを選択。

この交換後、テスト走行で歯飛びは収まり快適な状態に戻ったことを確認できた。
今回の歯飛びの原因はチェーンリングの摩耗にあったようだ。
【確認】歯飛びするチェーンリング摩耗状態
古い方のチェーンリングの摩耗状態を観察してみる。

写真で見ても、歯飛びが起きるアウターの方が摩耗が進んでいるのが分かる。


この摩耗状態は、すでに限界を迎えていたのだろうか。
【確認】ノートラブルだった過去のチェーンリング(14,000km&28,000km)
以前キャノンデール CAAD12をメインに乗っていた頃にチェーンリングを交換した記録が残っていた。

交換した古い方のチェーンリングは走行距離14,000km。歯飛び等の症状は起きていなかった。

さらにその1つ前に使っていたチェーンリングは走行距離28,000kmほど耐えてくれた。
あの時使っていたチェーンリングは耐久性が高かったのか?あるいは使い方の違いがあるのだろうか。
【構造】アウターチェーンリングのチェーン保持機構
チェーンリングの構造について改めて確認してみる。
新品のアウターチェーンリングの歯を拡大すると、漢字の【爪】や【瓜】のように歯の右側(前側)が壁のように立ち上がっている。これはチェーンローラーを捉え安定させ、チェーンをチェーンリング歯の根元へしっかりと収めるためのものだろう。


歯の右側(前側)が摩耗すると、チェーンへ荷重がかかる際にチェーンが歯外周(歯先)へ上がり、歯飛びやチェーン外れが起こりやすいと考えられる。
【構造】新品チェーンと伸びたチェーンのピッチの差
自転車チェーンのピッチは規格により12.7mm。

ローラー、ピンが摩耗することでチェーン伸びが起こる、と思っていたが、検証されているサイトがあった。

インナープレートの穴が拡がるが、ピンは摩耗しない、という驚きの結果が。
これは自分で調べてみる価値がある。
実際のピッチの差を実測することを失念していたが(伸びたチェーンは捨ててしまった)、チェーンを直線方向へ引っ張ると伸びたチェーンはガタが広がっているのが確認できる。
そのガタがピッチの差を生むので、伸びたチェーンではチェーンリング、スプロケットとのかみ合いがずれる。
【構造】チェーンリングからチェーンへ力のかかり方
ペダルをかけた際にトルクはどのチェーンリングとチェーンで伝達されているか。
ペダルに荷重をかけた状態でチェーンリングにかかるチェーンを手で外そうとすると、0時~3時側のチェーンを外すことはできないが、3時~6時側のチェーンを外すことができる。
ペダル荷重が チェーンリングを通してチェーンのテンション高めているのが0時~3時エリア。上側が駆動トルクにより高緊張状態であるのに対して、3時~6時のエリアはテンションプーリーからの弱いテンションを受け低緊張状態である。
ペダリングの踏力は、チェーンリングに巻き付く全てのチェーンに均等にかかるわけではなく、上側前方の歯がチェーンローラーをけん引している。
【比較】摩耗したチェーンリングの程度
過去のパーツと今回のパーツを比較してみる。
キャノンデール CAAD12(約14,000km走行)
【爪・瓜】形状を保つ歯が多く並んでおり、まだ摩耗が少ない。

東洋フレームのチェーンリング(約7,900km走行)
【爪・瓜】の形状が削れて三角形に近くなっている。

なぜ走行距離の短いはずの東洋フレームアドベンチャーロードで使ったチェーンリングの方が摩耗が著しくなったのか。
ここからはチェーンリング摩耗の要因について考える。
【摩耗の要因1】たすき掛けの影響
チェーンのたすき掛け(アウター×インナーロー)は、チェーンリング歯上をチェーンローラーがスライドし噛み合う作用から摩耗が進みやすい。
アウターローの噛みあう瞬間を観察してみると、チェーンリング歯に対してローラーがスライドしながらかみ合っているのが分かる。よく観察しないと分からないレベルだが約1mm程のスライド量だろうか。
対してアウタートップを観察すると、スライド量が少ない。
面圧×滑りによる摩擦が、偏摩耗に与える影響は大きそうである。
【摩耗の要因2】GRXのギア比とダブルレバーの操作
オンロードでGRXコンポーネント(2×11s)を使用する場合、ロードコンポーネントの場合よりもアウターを多く使う。
これはチェーンリング歯数構成が影響している。
GRXアウターチェーンリングは46/30、ロードは52/36と、アウターインナーとも歯数が6違うがこの差が大きい。
ロード(CS-R8000)歯数:11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30T
GRX系(CS-HG800-11)歯数:11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34T
比べると
ロード:インナー36T×19-24T(ギア比1.89-1.5)
GRX:アウター46T×25-30T(ギア比1.84-1.52)
これらがほぼ同ギア比。
走っていると、GRX(2×11s)では平坦から続く軽い坂道はアウターで登ってしまうシーンが多い。ロードコンポーネント使用時と比べると、アウター使用頻度が高くなっている。
またダブルレバーでの変速操作は時間がかかることがこれを助長している。例えば徐々に勾配があがる坂道を登る時、私の場合極力フロント変速を避けてギリギリまでリア変速を使いがちである(フロントをインナーへ落とすと、リアを数段上げなければいけないので操作が増える)。
たすき掛けの使用頻度が増えていたことから歯の摩耗が著しかったのだろう。
【摩耗の要因3】小さいチェーンリングと大きいスプロケットの組み合わせによる影響
GRXやMTBのドライブトレインでよくある、小さい(アウター)チェーンリングと大きいスプロケットの組み合わせはどうだろう。
小チェーンリングでは大チェーンリングと比べ、ペダルから受ける踏力がてこの原理により、チェーンへより強く伝わり歯にかかる面圧は増える。
また小チェーンリングは歯数が少ない為、同じ走行距離であっても一つの歯がチェーンとかみ合う頻度が多くなる。
結果的に小チェーンリングは大チェーンリングよりも摩耗が多く進むだろう。
新品チェーン×摩耗チェーンリングの組み合わせで歯飛びが起きるのはなぜ?
今回のトラブル、摩耗したチェーンリングに新品チェーンを組み合わせると、なぜ歯飛びが起こるのか。
上記の内容から推察できることは、以下のような機序が考えられる。
新品チェーンピッチ12.7mmに適合しない摩耗したチェーンリング歯は【爪・瓜】形状から三角形へ変形し、チェーンの保持力が落ちている。トルクを受けると巻き付いたチェーンが歯先・外周へ浮き上がりやすい。
反対に、伸びたチェーンと摩耗したチェーンリングとの組み合わせで歯飛びが起こらなかったのは、下記のような状態なのではないだろうか。
伸びてピッチが広がったチェーンは、摩耗したチェーンリング歯先・外周へ一部が浮き上がるが、伸びているおかげで巻き付く全てのチェーンが追従せず、歯飛びに至らない。
対策とまとめ
今回のトラブルから、チェーン摩耗については今までよりも敏感に観察する必要があると思った。
またダブルレバーでの変速についても、今よりも勾配変化の先を読み、早目にアウターからインナーへ落として、アウターで坂道を登らないよう、たすき掛けを避けるよう、操作には気を付けなければいけない。
ギア変更として、フロントシングルという手もある。フロントシングルへ変更すると、フロントチェーンリングの摩耗はさらに顕著なものになるかもしれない。ただ、フロントシングルや小チェーンリング歯は高い山形状に設計されているので、多少摩耗したところでフロントチェーンリング要因での歯飛びは起こりにくそうに見える。



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