2022年12月初めてブリーディングをした際に役に立ったものや困ったことを書いておく記事。
きっかけ
2022年12月11日、MTB乗車中にリヤブレーキの異音がするので観察してみるとリヤブレーキオイル漏れを発見した。
ブレーキ漏れの原因はホースとキャリパーを繋ぐボルトの緩みで、そこからじわじわとオイル漏れが進んでいた模様。
当日、ブレーキオイル漏れで走行不能となることはなかった(携帯ポンプを持っていなくてパンクで自走不能になったけど)が、帰宅後ブレーキの調子を確認してみるとブレーキレバーがスカスカに効かなくなっていた。
4年間乗ったMTBだが今までオイルブリーディングをしたことが無かったので、この機会にチャレンジしてみることにした。
所有MTBのブレーキ関係パーツ
ブレーキレバーはBL-M8000。
ブレーキキャリパーは、BR-M675。
役に立ったマニュアルや記事
ブリーディング全作業工程についてはシマノのディーラーマニュアルDM-GN0001-26-JPNを参考にした。
その他細かい作業で参考になったのが以下のサイト。
ピストンを戻す作業で参考になったのがヨロズバ様。
キャリパーのセンター出しで参考になったのがホーザンの公式サイト。
ローターの歪み修正で参考になったのがメンテク(自転車きゅうべえsportsのメンテナンスサイト)。
必要なメンテナンスツール
シマノ プロフェッショナルディスクブレーキブリーディングキット(WP-Y13098630)
価格が4,500円ほどで高価に感じるシマノ製ブリーディングキット。
シマノ製じょうごと注射器とスペーサーとホースのセットでなぜこんなに高価なのか理解ができず、試しに安価なAZ製注射器(耐油チューブ付き)を購入してみた。
ブレーキキャリパーのブリードニップルに差し込んでみると、サイズは合っているようで難なくハマるが、
少しチューブを動かすと簡単に抜けてしまい、チューブの先端をブリードニップルに固定するツールが別に必要になる。
シマノ製シリンジユニット(TL-BR001)
対して、シマノ製注射器チューブ先端には金属パーツが埋め込まれていて、
チューブとブリードニップルの連結を強固なものにし、簡単に外れることは無い。
チューブ内の小さく精巧なパーツが価格を押し上げているのだろう。
またチューブにオイル流動を止める器具が付属している。
この器具は何気に便利で、チューブを注射器やブリードニップルから取り外す際にオイルがチューブから漏れ落ちないようにできる。
細かい部分だが使い勝手が良い。
下は注射器TL-BR001単品販売。
セットの黄色いスペーサーはエア抜き作業でブレーキパッドを外したキャリパーに挿入して使う。
じょうごはブリーディング中、ブレーキレバーに取り付けて使う。
- シリンジユニット(TL-BR001):注射器セット
- ファンネルユニット2種類(TL-BR002+TL-BR003):ロード用とMTB用のじょうご2種セット
- 4種のブリーディングスペーサー
これらセットになったものが下のプロフェッショナルディスクブレーキブリーディングキット。
何も持っていないなら迷わずこれを買うのが結局安上がりだった。
7mmスパナ
7mmスパナは、キャリパーのブリードニップルを開け閉めする際に使う。
上述したチューブをブリードニップルに挿し7mmスパナでブリードニップルを開けると、キャリパーからブレーキオイルを排出したり注射器を使ってブレーキオイルを注入することができる。
アーレンキー
この作業で使うのは、5mm、4mm、2.5mmの3本。
5mmアーレンキーは、キャリパーとフレームの付け外しに。
4mmアーレンキーは、ブリーディング中のエア抜き作業でブレーキレバーに装着したじょうごの角度調整に。
2.5mmアーレンキーは、ブレーキレバーへじょうごを取り付ける際ブレーキレバーのブリードねじの開け閉めに。
ピストンプレス
上述した黄色いスペーサーをキャリパーへ入れる際に、ピストンをキャリパー側へ押す必要があった。
専用工具としてはピストンプレスが各社から販売されているが、へら状のもので代用ができそうであり、さらに言えば今回の作業ではパッドが閉じてしまったわけではないので、丈夫な板状のものであれば代用できるだろうと思い、BIKE HANDのチェーンチェッカーを使ってピストン戻しをした。
飛び出ているピストンを押す為に、
チェーンチェッカーを使う。
ピストンがキャリパー内に収まったらスペーサーを入れる。
今後もディスクブレーキを使っていれば、いつかミスでローターを外した状態でブレーキレバーを握ってしまうこともあるだろうから、そのうちピストンプレスを買う必要性はありそう。
ローター修正器
今回の作業終盤に、ローターの歪みが原因でパッドとローターのクリアランスが出ず、ローター歪みを修正する必要があった。
ローター修正器は所有しておらず、作業内容を見てみるとモンキーレンチでできそうだったので、代用で行った。
専用工具を見ると、ローターを挟み込む深さがモンキーレンチよりも深い。
ローターアームを修正する際には専用工具の方が良いと思う。
ラジオペンチ
ブレーキパッドの取り外しの際に、固定用のピンを曲げたりまっすぐにするのに使う。
ブレーキオイル
シマノ製油圧ブレーキシステムには、シマノ製ミネラルオイルを使う。
オイルの量によって体積単位当たりの販売価格がかなり異なる。
大容量の方が体積単位当たりの価格的が安く1L用を購入したが、全て使い切れるのか。
ちなみに今回は、前後ブレーキのブリーディングをして100-150ml程度使っている。
大容量のオイルがあると作業中精神的な余裕が生まれるので、保険的な意味でも大きなものを購入したのは良かったと思う。
作業で困ったこと
ブリーディングの作業順序はシマノのディーラーマニュアルDM-GN0001-26-JPNに依るが、そこには書かれていない細かい部分で困ったことがあったので書き残しておく。
ピストン戻し
エア抜き作業中、ブレーキレバーを握る工程があるが、オイルを扱う作業なのでパッドを取り外す前提で作業しなければいけない。
なので、ブレーキパッドを取り外してブリーディングキット付属の黄色いスペーサーをキャリパーへ嵌めようとしたがうまくはまらなかった。
形が異なるものが4つも付属しているのに適合しないのは何故だろうと調べたところ、ピストンをキャリパー内に戻さないと、スペーサーを入れることができないことが分かった。
キャリパーのセンター出し
ブリーディング作業では、キャリパーをフレームから取り外す。
作業後フレームに取り付けて、ホイールを回してみるとローターとパッドが接触している状態でホイールが回らなくなった。
ブリーディング作業失敗なのか、ピストンの故障か、ローターが全体的に歪んだ?
などと考えが巡ったが、これも調べてみると油圧ディスクブレーキもセンター出しが必要だということが分かった。
下のようなセンター出し工具も販売されているが、
HOZANによるとアーレンキー一本で作業できる、ということで案内されている。
今回はホーザンの解説通りに作業してセンター出しができた。
ローター歪み修正
センター出し作業後も一部ローターがパッドに擦っていること(クリアランス不足)が確認できたので、ローター歪み修正作業を行った。
この作業は上述した通り、今回はモンキーレンチで行い前後とも異音は解消された。
まとめ
ブリーディング作業自体はツールが整えばスムーズにできたが、シマノのディーラーマニュアルに載っていない部分でいくつかつまづいた。
油圧ブレーキ特有のリスクがあるので、今後も慎重な作業を心掛けたい。
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