昨年11月からこのブルベの完走を目標にしていた。
練習開始の2021年11月は、通勤距離を超えると脚に疲労が出てロングライドができる状態ではなかった。
そこから練習とブルベ参加を重ねて、直前には100km獲得標高3000m超えのライドを試してみた。
脚の疲労はあるもののこの倍の距離と獲得標高を走れないこともないな、という感じだったので、未体験ゾーンに対する不安や楽しみが入り交ざったような気持ちで当日を迎えた。
走行前
スタート地点は、自宅から車で20分の距離のHAT神戸。
R4年1月に走行したBRM104近畿200km神戸 お正月伊勢参りLucky Arrow(N2BRM)以来、前日は車中泊が続いていたが、今回は自宅近辺からのスタートなので自宅泊になった。
いつもの布団でよく眠れるかとも思っていたけれど、今年の一つの目標であるこのブルベ完走を前にワクワクしすぎて、結局22時半から2時までの3時間半しか眠れず。
睡眠不足感はあまり感じていなかったが、走行中起こったトラブルを鑑みると睡眠不足で頭が回っていなかったように思う。
当日の天気予報は運よく雨予報から晴れ予報へ変わってくれた。道中の気温は2度以上15度以下の予報だったので、装備は冬装備基調で調整をすることにした。
前回のブルべの反省点、インサレーションを持っていないと冷えて体調が悪くなることを思い出してこれを携行した。
補給食は羊羹を10ヶほどフロントバッグに詰めてスタートすることに。
スタート地点には5時過ぎに到着し余裕をもってブリーフィングまで待機できた。
このブルベは走行距離200km、獲得標高5000m超えの自分的には未体験ゾーンヒルクライムロングライド。
約半年前から目標にしていたので今回の走り方は『余力を残さずに完走をする』ということにした。
なので初めからある程度踏んで進んでいきどこまでいけるかも試しながらの走行。
時間制限13時半を過ぎてゴール時間に間に合わなくても、時間外完走でゴールしようと思っていた。
また、せっかくのヒルクライムロングライドに参加するのだから途中きつい箇所があったとしても足つきは無しで登ろうということも考えていた。
今まで参加したブルベとこのブルベの違いは、獲得標高が異常に高いことだけではなくて、スタート地点が海抜0m付近、ゴール地点が標高700-800m付近にあること。今までのブルベはだいたいスタート地点に戻るコースであったり、ゴール地点が海のそばであったりしたけれど、今回は山の上がゴール地点になっている。
グロス15km/hに間に合うのかが非常に難しい印象。
道中写真撮影や休憩時間は極力省いて観光する時間を惜しんでひたすら坂を上って下ることに時間を費やしたい。
スタート
6時スタートし、4km地点からいつもの通勤路の再度山ドライブウェイを登る。
この辺りですでに速い人はどんどん前に進むし、それぞれマイペースに上っている感じ。
朝一番だったからか、楽しみワクワクしすぎていて踏みすぎていたのか、普段よりも呼吸が苦しいように感じた。できるだけペースを抑えながらできるだけ踏みたいという気持ちのはざまで、ペダリングをしていたように思う。
フォトコントロールの再度公園入口に複数人で到着。
ここ神戸の山(標高440mほど)を一つ越えて谷に降りた後は岩谷峠(標高430mほど)を越える。
岩谷峠の登りを5名ほどの集団で淡々と上がっていった感覚。
集団で走っていて思うのが、登りは同じペースの人がいても、いつも下りで遅れてしまうこと。
ベースに下りの苦手意識と恐怖心があるのだけど、今よりも早く下ることが難しいなぁ。
岩谷峠を越えて3人で吉川から三田まで進んだ。
三田のR176沿いのコンビニを過ぎるとそこから70km以上コンビニ補給ポイントが無いので、まだおなかすいていないけどしっかりと補給食を摂った。
ここまでの道、45kmは今と昔の自分の通勤路。
今は再度山ドライブウェイを自転車通勤しているし、その昔は三田まで自動車通勤をしていたことを思い出した。
そこから母子(もうし)の永沢寺のフォトコントロールへ。
ここからはしばらくソロで走った。
この登り道も昔自転車で走ったことがあって、あの時はひどくきつかった記憶がある。
途中の斜度は13%ほどなので今だとふつうにきついがそんなに苦なく上れた(あえてここは踏まずにペースを落としたのもある)。
繰り返しロングライドやヒルクライムを続けているから今は少し登り力が上がっているのかもしれない。
最高標高580mを越えてフォトコントロールの母子の永沢寺へ。
母子に入る道はもう一つ(砂利道含めると2つかな)ルートがあって尼ん滝の方は少し緩いかと思ってルートを引いてみるとあちらも最高斜度16%とかなのでどっちもどっちだった。
この次はPC1の亀岡ゴルフクラブ看板前までは40kmほどだけどその間名も知らない峠、山道をいくつか越える。平坦路は一切なくて笑えるほど。
少しずつ削られていく脚という感じ。この時点では疲労はあまり感じていなかったけど。
そしてスタートから5時間半で104km地点のPC1に到着。
結構良いペースで来ている。このPCで時間切れだけは避けたかったので、とてもうれしかった。
でもこの亀岡ゴルフクラブ辺りからなんだか疲労を感じていたのは確か。
普通ならこの後しっかり補給を摂るのがいつもの流れなのだけれど。
ここ辺りで吉川辺りで一緒に3名で走っていたうちの一人の方が話しかけてください、しばらく一緒に走り休憩予定の119km地点のコンビニに。
コンビニで昼食を摂ったけど選択したのはなぜか量控えめな幕の内弁当(確か税込み400円以内だったような)。
普通ならここでしっかり食べてこの後の消耗に備えるのが定石、というか自分はもともと空腹恐怖症と自認する空腹にも弱くてすぐにおなか空く燃費悪い体質(やせの大食い)。
この状況で小食を選択するのは頭が眠気で正確な判断ができなかったのかもしれない。
コンビニ補給後信号待ちでふらっとふらついたので、疲労と睡眠不足を自覚しながら気を付けて走行することに。
次は、大野山への登坂路。最高到達点は730mほどで、最後の3kmほどは10%オーバーが続く。
亀岡ゴルフクラブ前の登坂ではここまで疲労を感じていなかったけれど、ここでは明らか脚が終わってる感覚が強くて、斜度が強い区間は特にサッパリ踏めない感じ。
前の激坂区間永沢寺では10%オーバー区間は8km/hほど出ていたのが、大野山では5-7km/hに落ちているのがログで分かる。
ひたすら我慢の登りを耐えて何とか展望台に到着。
ここからの眺めは本当に良い。
以前に自動車で夜星空を見に来た事がありあの時もキレイな夜空に感動した記憶があるけれど、今回お昼の景色もとても素晴らしかった。
今回天候が良くて本当に良かった。しばらく展望台からの景色に癒される。
この時点では、きつい登りで眠気は覚めた感じはあったが、まだ補給不足の実感は何もなくただ脚が終わっただけだと思っていた。
ここで少し用事の電話をしてから先に進む。
何人かの参加者も登ってこられた。
下りも激坂なので注意して下りないとすごいスピードが出る。
下りきって次のフォトコントロール、才の神峠に向かう登りの前でコンビニがあり、予定していた食後のデザートを摂ることに。
さっと食べてリスタートしたが補給がかなり効いたらしく、頭はすっきり脚も少し楽になった感覚があったが、一度終わった脚はもとに戻らない。
ここで補給不足なのかとなんとなく感じていた、はずなのだけれど。
リスタート後、才の神峠に上るところから参加者の方から声をかけていただき、一緒に上ることに。
才の神峠は最高斜度25%ぐらい、とキューシートに書かれている。
脚は完全に終わっているのでアタックはもちろんできないが、絶対に足つきはしないようにペース配分に気を付けて上ることにした。
登っていくと途中からコンクリート敷(だったかな)のダブルトラックを進入していき、斜度がぐんと上がる。救いだったのが一部斜度が緩む区間があったのでそこを休憩ポイントにしてゆっくり進み、斜度がきつい箇所は極力踏まない(踏めない)ようにして全身でゆっくりと上がった。
路面は荒れていたが普段走っている道よりも路面は良かったのでそこは問題なく、なんとかクリア。
登り終わりが見えた瞬間、歓喜の声を上げたw
才の神峠を越えると後は走り慣れた蓬莱峡・ハニー坂(盤滝峠道)から六甲山頂へ上がる道のみ。
気分は完走したような感覚で、この時点で目標達成!と喜んでいた。
まさかここからさらにこの後4時間も苦しい時間を過ごすことになるとは思っていなかったのだけれどw
一緒に上った方も無事足つきなく登り切られたようで一緒に喜んだあと、ここからはソロでPC2のコンビニに向かった。
コンビニでは7,8名の参加者がおられたように思う。
ここで補給をたくさんするべきところなのだが、なぜか自分が選んだ食料はモンブランとおむすびとホットコーヒー。
いつまでも小食チョイスが続く謎。
寝不足の影響だろうけど、これは大きなミス。
ここはしっかり大盛パスタでも食べて、おにぎりは3つぐらい予備に買っておくぐらいがちょうどいいはず。
このコンビニではモンブランとコーヒーを摂って、おにぎりは携行食にしてリスタート。
気分は完走、だったのだけれどこの辺りから脚が痛くなってきた。
2週間前のブルべで傷めた左膝を心配していたがそこは大丈夫で、今回は右ひざ関節。
部位的に腸脛靭帯炎だと思う。
ここから次の登りが始まるまでには平坦路は無くて補給ポイントもない区間。
膝の痛みが気になりながらコンビニで買い忘れていた水を自販機で買って進む。
右膝の痛みの原因部位を探りながら走っていたが、よくわからないまま蓬莱峡の登り口に到着。
登りながら身体を触っていると、大腿筋膜張筋の辺りが原因だとわかり指圧しながらペダリングをして少し痛みが軽くなるが、元には戻らず痛みと一緒に坂登りをすることに。
蓬莱峡辺りをパシャり。
暗雲立ち込めるという感じ。
脚の疲労感もさっぱりもとに戻らずますます踏めなくなってくる。
蓬莱峡を終えてハニー坂の登り口で補給食のおにぎりを食べると、すごく美味しいことに気づく。
完全に塩気とカロリーが足りてない感じ。
ここまで走行中の補給は携行していた羊羹をメインにしていたけれどそれだけではダメだとも実感。
と言ってもここで寄り道して最寄のコンビニに坂を上って行くという発想も浮かばず、走行ペースも落ちているので制限時間も気になるところ。
残りの補給食は羊羹2ヶのみになったがこのまま進む。
ハニー坂の激坂区間を6km/hほどでなんとか登りきって、六甲山に上がる道との交差点で羊羹を一つ補給。
ふと踏めない脚で残り10kmほどの道を進むにはどれだけの時間がかかるのか不安が頭をよぎったw
ここは標高400m地点で六甲山の最高到達点が880mとすると約480mの標高を斜度10%超えの登りを含んだゴールまで10kmほどの道のりは1時間以上かかるのではないか、とも。
この時点で残り1時間半以上の余裕があったがタイムアウトの文字が頭をちらつく。
しかし先に進むしかないので上り続ける。
終わった脚で踏みすぎず遅すぎずというペースでなんとか進み続ける。
斜度10%オーバー3km区間は案の定トドメをさしてくるような感じで、ただただ耐えるw
途中なんども足つきしたい欲望に駆られながら、eTrexをにらみ残り標高480mを10分割して考えて、50m標高が上がるごとに”10分の1!!!”とか言いながらなんとか精神を保って上って行った。
芦有ドライブウェイ宝殿I.C.を過ぎると斜度が緩むので楽になる予定だったのだけれど、完全に終わってしまった脚には全然楽に感じず、そのあと最高到達点まであと獲得標高100mというところで頭がぼーっとしてきたので登坂しながらラスト羊羹を補給した。
もう完全に足も頭も終わっていた感じ。
謎の咆哮を数回上げながらいつも走り慣れている一軒茶屋になんとか到着。
ここでインサレーションを着込みウィンドブレーカーで保温に努めた。
ログを見ると最後の坂は40分かけて上ったようだが、感覚的には永久に感じていた。
ここからは緩いアップダウンを繰り返してゴール地点の六甲ケーブル駅まで6kmの道のり。
時間的には余裕があったので、途中自販機で塩分補給を兼ねたの暖かいモノ(何を飲んだか忘れた)を飲んだ。
この辺りで参加者の方2名と遭遇して、ほっとしたような感覚があった。
無事ケーブル山上駅に到着。ゴール!
残り時間は40分ほどだったのでギリギリ隊。
しかしこれだけ頑張って上った後に眺める展望台からの景色はいつもよりもさらに美しく感じる。
気温が低く寒いのでレインウェアも着用し、ゴール受付のスタート地点付近まで才の神峠を一緒に上った方とともに下り、無事完走認定を受けることができた。
まとめ
今年の一つの目標だったブルベを無事完走できてよかった。
獲得標高5200mほどで途中はえぐい鬼坂が含まれていたが足つき無しで進めたことも満足感が高い。
楽しみからワクワクしすぎて寝不足になるまでは想定内だったけど、補給ミスをしたのは失敗。
途中までは予定通りある程度踏んで進めたので、あとは補給ミスをしなければもう少し踏んで進めたのかは気になるところで、今後試してみたい。
次は、BRM423近畿300km神戸(甲) VALE TUDO Stage.2 淡路山脈に参加する予定。
鬼ライドが続くがどうなることやら。
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